ロストジャッジメント感想(一部ネタバレあり)

ロストジャッジメントをクリアしました。

クリア報告書1

クリア報告書2

龍が如くシリーズではサブストーリー(ジャッジアイズシリーズはサイドケース)まで埋めていましたが、今回は本編とユースドラマでお腹いっぱいになり断念。達成率は 30%でした。

これでもプレイ時間は 50 時間ちょっとになり、サイドケースやユースドラマの完全コンプ、ガールフレンドなどを全部やるとおそらく 60 ~ 70 時間程度になると思います。

後半でネタバレあります(ネタバレパートではネタバレありますと書きます)。

ジャッジアイズからの変化・龍が如くシリーズ関連

ジャッジアイズではアルツハイマーの特効薬をめぐる利権と、八神や海藤がお世話になっている東城会松金組を軸としたヤクザ組織のいざこざがストーリーを構成していました。

ロストジャッジメントでは高校生のいじめ問題を軸に、誰かが復讐したりそのせいで誰かが死んだりといった前作よりもさらに重い内容となっています。

サイドケースでもおちゃらけたものが少なく、心の救いがユースドラマのミニゲームくらいしかなく終始しんどかったです。その代わり没入や感情移入はちゃんとできたので良いバランスだとは思います。

前作ではなかった潜入捜査パートが物語の 6 割くらいを構成しているので、今作はちゃんと探偵やってるなーと思いました。また、アクションのバランスや要素も改善されていてジャッジアイズよりは戦闘が楽しめました。

一方で(巷でも言われている通り)調査アクションに関してはそんなに面白いとは思いませんでした。スティール、チェイス、アスレチック、ピッキング、探偵犬、集音器や盗聴器探知などのガジェット要素のどれもそこまで刺さりませんでした。

ただここら辺は本物の探偵に言わせるとすごくよくできているそうなので、リアリティに寄せすぎてゲーム的な刺激が少ないのかもしれません(アスレチックは実際やったらパクられそう)。

ストーリーは個人的にはジャッジアイズよりも〆方がすっきりしていて好きです。ジャッジアイズでは終盤駆け足でなあなあなまま終わった感が強かったため、ロストジャッジメントの終わらせ方は良い印象でした。

また、時系列が「龍が如く 7」の後で東城会や近江連合が解散しており、〇〇系ヤクザという組織は出てきません(元東城会、近江連合はわんさか出てくる)。

ドラゴンエンジンで動くゲームでこれほどヤクザ感が薄い作品は初めてのことですが、普通にチンピラや半グレを動かすのにももってこいなので特に違和感はなかったです。

ちなみに桐生ちゃんや一番、真島などのキャラクターは一切登場せず、武勇伝なども聞くことはありませんでした。元々期待はしてませんでしたが…。

ただ 7 をやったユーザーは伊勢佐木異人町要素で楽しめるものもありました。横浜流氓やコミジュルも健在で、あれが変わってる!とかあれがないやん!みたいなのが結構ありました。あれの後、あの人そうなんだーとも思いました。ここら辺のワードがピンとこない人もロストジャッジメントの後に 7 をやると発見があるかもしれません。

今回もキムタクをアクターにした八神というキャラクターを捜査しますが、PS5 で見る八神は本当に生きているキムタクのようで、ダンス部では今ではもう見られないキムタクのダンス姿を拝めます。

千手観音キムタク

他にも暴走族になるキムタクやボクシングをするキムタクなどこのゲームでしかもう見られなそうなものがいくつかあるためキムタクファンはマストバイかもしれません。自分は何だかんだ SMAP は馴染みがありその面でも楽しめました。

暴走族キムタク

本編とユースドラマについて

ここからは盛大にネタバレを含むためやってない人は読まないでください(買ってやってください)。

本編の感想ですが、しっかり社会風刺しつつ八神の物語を描き切っていて単純にすごいなと思いました。

八神はジャッジアイズで自分の弁護により(実際は利権絡みではあったが)寺澤絵美殺害のきっかけを作っており、そのことが今でもトラウマになっていることが感じられました。

今回いじめ加害者への復讐に対しての反論として、澤先生の名前を出し続けたのもこのバックボーンがあってこそだと思われます。

自身が弁護人として最後まで真実に光を当て続けなければ、どこかで無実の人間が割りを食って死ぬという経験をしたからこそ、あそこまで澤先生の死に固執していたのかなと(ただ台本の流れが相手側の主張 → 即座に澤先生は?なのでしつこいのはあった)。

今作の八神の対比として異人町の何でも屋の桑名が出てきますが、描かれ方的にもう一人の八神としての印象を受けました。

最終的にお互いの正義は分かり合えないまま(桑名のその後の行動的に響いてはいたっぽいけど)でしたが、個人的にはどちらの主張にも素直に肯定できず、良い問いかけだったと思います。

ただ桑名は教え子に対してかなり適当な扱いをしており、自身の行動の正当化をしつつもそれが原因で死んでしまった教え子には言及しなかったあたりが、桑名という人間をよく表しているとも思いました(単に台本の都合かもしれない)。

いじめ問題はいまだに大人でさえ答えが出せず、起こっていることを気づけない大人がいたり、そもそも起こっていても防ぐことは可能なのか、当事者になってしまった場合どうすれば良いのかなどの情報が知られていない中、いじめが起こる原理の説明・対処方法の擬似体験と、それを支える法の未熟さゆえに一人一人がちゃんと考えないといけないことが示唆されており、思春期の子供にとって考える良い機会を与えるものだとも感じました。もちろん自分自身も考える機会になりました。

話題にあげたり議論することすら憚られるジャンルであり、ゲームとして成り立たせテーマのメッセージ性を損なわないようにしている点で並々ならぬ努力を感じました。

前作と同様誰にでも起こりうる悲劇というテーマがぶれておらず、今後ジャッジアイズシリーズはこの路線で行きますという意思も感じました(これで急にエンタメにシフトしたら逆にすごい)。

また本編とは別にユースドラマがありましたが、これは完全に本編とは関係がなく単に推理もの + 潜入捜査 + 学園生活をやりたかっただけに思えます。

ノックスの十戒的にも矛盾なく展開されていてまあまあ楽しめましたが、もう少しユーザーに謎を考えさせるようにしてほしかったです。

天沢が可愛いので足繁く通っていたのに、話しかけてもなんですか?と言われるだけなのが悲しかったです。もっと好きな推理 SF シリーズ当てとか好きなトリックとか知りたかったです。

ユースドラマのミニゲームはどれもまあまあの難易度でまあまあ楽しいものでしたが、ロボット部だけは若干ストレスでした。ぶっちゃけ VR すごろくでお金が貯まるまでは勝てませんでした。一番面白かったのはボクシング部、一番おもしろくなかったのは写真部です。

あと PS5 でやっていたのでハプティックフィードバックがあるんですが、暴走族でアクセルの ZR を押し込む際ハプティックフィードバックで重くなるのが辛かったです。

死に覚えをするゲーム性の割に指に負担をかけるあたりあまり PS5 での実機テストはしてないのかなと思ってしまいました…。ただキャラはみんな好きです。

その他感想

龍が如くでは大体キャバクラ運営があって毎回楽しんでいました。ジャッジアイズシリーズではキムタクモデルを使うため水商売系のミニゲームは封印してるのかもしれません。

一応ガールフレンドやガールズバーといった要素がありますが、自分は経営シミュレーションをやりたいのであって恋愛シミュレーションがやりたいわけじゃありません。次回作があればなんとか盛り込んで欲しいと思いました。

あとは散々指摘されていますがサイドケースが少ない(自分は全然やってませんが)うえに面白くない点。これはユースドラマに全力を出した結果かと思います。

個人的にユースドラマは天沢のかわいさもあって楽しめたし特に文句はないです。ただいっそのことサイドケースを全部切ってユースドラマ全振りでもよかったかもしれません。そうすれば天沢の深堀がもっとできたかもしれない、やってほしい。

作品全体の点数で言えば個人的には(ジャッジアイズからの改善を評価に入れて)90 点くらいでした。みなさんもぜひ(特に中高生は)龍が如くシリーズと合わせてやってみてください。